夏が過ぎ、ついこの間秋を迎えたと思ったら、もう師走。
都会で慌ただしい毎日を送っていると季節を愉しむ余裕もなく、1年があっという間に過ぎていく。
日本には美しい四季があるというのに、実にもったいない。
そこで今回は、秋には秋、冬には冬の自然が味わえる蓼科高原の魅力をお届けしよう。


24時間休むことなく躍動する都会では、季節の移り変わりを味わう間もなく、いつの間にやらコートに袖を通す寒い冬になっている。オフィスビルが林立する風景は季節によって劇的に変わるものでもなく、街路樹の彩りが変わるぐらいのものだ。
そんな都会に比べ八ヶ岳山麓の雄大な自然に抱かれた蓼科高原は、四季それぞれの個性が際立ち、日々の暮らしそのものが季節感に満ちている。



生命の息吹に満ち溢れた夏の深緑から、燃えるような紅葉へ。鮮やかな錦秋から、雪化粧した八ヶ岳を望む冬へ。目の前に広がる風景は日を追う毎に姿を変え、彩りや香り、大気そのものに季節の移ろいを感じる。


例えば秋の訪れは、ナナカマドやヤマモミジの彩り、そして朝夕の冷気がはっきりと教えてくれる。標高1,200m~1,500mのなだらかな丘に広がる「蓼科高原三井の森」では、樹々が色づき始めるタイミングが標高の低い街区と高い街区で異なり、別荘地内を散策していると日増しに秋が深まって行くのを体感できる。



夏に涼を求めて訪れた「横谷峡」は、鮮やかな紅葉に包まれ、同じ場所とは思えないほどの変貌ぶり。滴るような緑の中で轟音を響かせていた「王滝」は、赤、黄、褐色の森に抱かれ、秋らしいしっとりと落ち着いた風情を醸し出す。
落ち葉が降り積もった遊歩道を歩いて行くと、ふかふか、さくさく、足の裏の感触や音で秋の深まりを感じる。




青空に筋雲が浮かび、カラマツが黄葉に染まり始めると秋も終盤。錦繍の絨毯を敷きつめたかのように八ヶ岳山麓を覆い、秋のフィナーレを飾る。
うっすらと雪化粧した北アルプスが霧ヶ峰の稜線の向こうに浮かび、朝夕の空気がピーンと張り詰めてくると冬はもうすぐそこ。薪を積み冬支度を終えた家の煙突から、白い煙が薪の香りを漂わせながら立ち上りはじめる。




森に吸い込まれていく白い吐息、葉を落とした樹々の合間に姿を見せる八ヶ岳の白い稜線。つい数週間前まで色鮮やかな紅葉に包まれていたとは思えないモノクロームの世界。冬の絶対的な静寂の中に身を置くと身も心もキリッと引き締まる。
四季それぞれ、訪れるたびに異なる風景、新鮮な感動に出会える蓼科高原。季節を五感で愉しみ、心潤う森の暮らしが八ヶ岳山麓で待っている。



