幻の米、五郎兵衛米 〜先人の力と自然の恵み〜
新米がおいしい季節ですね。お米といえば新潟県というイメージがありますが、軽井沢のすぐ近くの佐久市もおいしいお米が取れる場所として知られています。なかでも佐久市浅科地区で作られる「五郎兵衛米」は“幻の米”ともいわれるほど希少でおいしいお米です。
現在の群馬県南牧村を本拠とする武士・市川五郎兵衛真親は江戸時代の初期、浅科地区の気候と土に注目し、私財を投じて草原だった場所を開墾します。蓼科山系を水源とする水を、当時としては高い技術を使って引きこみ(五郎兵衛用水)、新田開発を行いました。そこは五郎兵衛新田と呼ばれ、そこで採れたお米が「五郎兵衛米」と呼ばれています。
JA佐久浅間しらかば東部営農センターの今井由春さんによると「五郎兵衛米は品種はコシヒカリですが、他の産地に比べて香りがよく、冷めてもおいしいのが特長です」とのこと。
その美味しさの秘密は3つ。まずは作付けされる土壌が強粘土質であるということ。通常のトラクターではなくキャタピラの農機を使う農家もあるそうです。粘土質だから水や肥料のもちがよく、養分が稲にしっかりと行き届くのです。また、同じ理由で農薬も少なくてすみます。
2つ目は水。「蓼科山の針葉樹林から流れてくる水には、肥料として使われるケイ酸カルシウムが含まれているそうです。栄養分が多く、それを稲によく行き渡らせる水といえます」と今井さん。そして最後は気候です。標高700mの佐久市浅科地区は、晴天率が高く、昼夜の温度差が大きいので、作物がよく育つといわれています。


五郎兵衛米が“幻の米”といわれるのは、そのおいしさに加えて生産量が少ないことにもあります。昨年、JA佐久浅間に集まった五郎兵衛米は約1600俵。JA佐久浅間管内全体のお米の約1%しかありません。それもそのはず、JAで「五郎兵衛米」として認定されるには、場所や農法などの条件があり、わずか250haしか耕作面積がないのです。
人気の高い“はぜ掛け米”はさらにその3分の1です。お米は刈り取った状態から水分を下げて出荷されます。通常その工程は機械を使って行いますが、はぜ掛け米は写真のように天日で2週間~3週間乾燥させるのです。ゆっくりと乾燥させるため、お米本来の風味や旨味を逃さないといわれています。
お話を伺っている間に、五郎兵衛米が炊き上がりました。試食させていただくと確かに香りが高く、水分も程よくて食べ応えがあります。冷めた状態でも食べてみてください、といわれて持ち帰った冷ご飯も柔らかくておいしかったです。一緒に持ち帰った他の品種のご飯と食べ比べてみましたが、水分のもちがよく、おいしさの持続性が高いのがわかります。



「今年はお盆を過ぎたころに涼しくなったため、おいしいお米ができていると思います」と今井さん。“幻の米”五郎兵衛米の出荷は今が最盛期。軽井沢ではJA佐久浅間 軽井沢直売所でも取り扱っています(宅配などの対応はお問い合わせください)。
最後に今井さんにお米をおいしく食べる方法を聞いてみました。「品種、味については人それぞれの好みがあるのでなんともいえません。ただ、ご飯を炊く直前に精米して食べるのが、お米の味が一番引き立つ食べ方だと思います」とのことです。今は一番おいしい新米の季節です。ぜひ信州のおいしいお米を味わってみてください。
(文・井上俊彦)

【JA佐久浅間 軽井沢直売所】
JA軽井沢支所(軽井沢町大字長倉2965)西側
TEL 0267-45-5086
http://www.ja-sakuasama.iijan.or.jp/
開設期間:4月下旬~12月中旬
営業時間:9:30~16:30 定休日:水曜日








