軽井沢エリアの情報は数あれど、
何となくどれも似ていて新鮮味がないような…。
そんな印象をお持ちの皆様へ、ちょっとレアなレポートをお届けします。
紹介スポットは、軽井沢を拠点に“見る・味わう・楽しむ”をテーマに、佐久・小諸・追分・草津方面など広範囲からセレクト。
地域に根ざしたおすすめスポットを紹介します。
Vol.4
早起きして行きたい、軽井沢の朝ご飯。

少し早起きして森に包まれたレストランで朝食を楽しむ。ここ数年、軽井沢ではそんなライフスタイルが密かなブームになっている。舌の肥えた別荘族や地元の常連客が足繁く通うだけあって、メニューは本格的。トーストとハムエッグなどというファミレス的なモーニングセットとは次元が違う。
フレンチのシェフが腕をふるう創作料理、ニューイングランド地方のアメリカンブレックファースト、薪のかまどで炊いたふっくらご飯など、家庭ではなかなか食べられない手の込んだ料理が主流。「早起きしてでも行く価値がある」と別荘族の間に口コミで広がった、軽井沢ならではの朝食を紹介しよう。

西洋人に避暑地として見いだされ発展してきた軽井沢には、ハイレベルな洋食レストランが多い。メディアで紹介されるレストランも洋食系が目立つ。そこで今回は敢えて和食にスポットを当ててみた。
訪れたのは、築130年の古民家をリノベーションした『御厨(みくりや)』さん。国道18号バイパスの塩沢交差点から脇道に入った深い木立の中にひっそりと佇む、大人の隠れ家的な古民家カフェだ。

趣のある古民家の佇まいもさることながら、『御厨』さん最大の特徴は、“アイガモ農法”で育てあげたお米を“愛農かまど”で丁寧に炊きあげるご飯。店内に入ると、薪の香りとお米の炊けるふんわりとした香りが出迎えてくれる。
“愛農かまど”とは、「全国愛農会」という組織が戦後間もないエネルギー難の時代に、少ない薪で大きな火力を生むかまどとして考案したもので、炊飯、沸騰、オーブンを1つの焚口でこなす機能的なかまど。

ガスや電気が普及し、今や遠い昔の調理道具となってしまったが、かまどで炊くご飯のおいしさは時代を越える不変のものだ。薪が燃焼する時に出す強い火力と遠赤外線の効果で、お米の芯までふっくらと炊きあがる。
『御厨』さんが厳選した “アイガモ農法米”は、水田に放したアイガモに雑草や害虫を駆除させることで農薬や化学肥料を一切使うことなく育てた有機栽培米だ。“愛農かまど”は“アイガモ農法米”の旨みを最大限に引き出してくれる。

そして炊きあがったご飯は、「木曽さわら」を用いた手作りのおひつに移して運んできてくれる。蓋を開けると、粒だった艶やかなご飯が「木曽さわら」の香りを伴って現れる。おひつがご飯の余分な水分を吸収し、べたつき感がまるでない。
ふっくらとしたご飯は、一粒一粒にうま味が詰まっており、噛むほどに甘みが口中に広がる。もっちりとした弾力、かまど炊きご飯ならではのおこげの香ばしさ…。「ご飯ってこんなに美味しいものなんだ」と驚くばかり。

『御厨』さんの朝食メニューは、「鮭の塩焼き御膳」と「御厨風とろろ汁御膳」の2種。メインのおかずと、煮物・小鉢・お漬物・田舎汁・かまど炊きご飯がセットになっており、いずれもご飯の美味しさを引き立てる薄口のやさしい味だ。
食材にこだわる飲食店は数あれど、これほどまでに“ご飯”を極めたお店はとても珍しい。古民家のレトロモダンな店内や、森が育む朝の清涼な空気に包まれたテラス席で味わう究極の“かまど炊きご飯”。懐かしくも新しい朝がここにある。

お問い合せ先
御厨MIKURIYA
かまど炊きごはんの古民家カフェ
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉727
電話:0267-46-2234 営業時間:7:00 ~ 16:00・火曜定休
営業期間:10 月末まで(冬季休業・GW から営業開始)