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山 桜

店名の由来の山桜 山 桜

手筈のすべてを見せる演出 極太のアスペルジュ

みなさん藤沢周平原作の映画「山桜」はご覧になりましたか。田中麗奈ちゃんりりしかったし、東山君もかっこよくて、もちろん鶴岡の野山と山桜の花吹雪はうっとりするほど美しかったですね。
さて、伝説の料理人と噂される芳田さん (東京都出身 41歳) が追分の林間でひっそりとカウンター10席だけの割烹料理店【山桜】を営んでいます。
店名の由来は、お店の庭にある樹齢30年を越える株立ちの山桜にあります。ウッドデッキをくりぬいて堂々と生えていますのでさくら吹雪の中でお酒が楽しめますが、見頃を迎えるのは5月になってからです。
【山桜】さんは日本で最も予約の取れないお店として有名な京都『建仁寺佐々木』さんと同じように、すべてコース料理で、お客さんが全員揃ったところで一斉にお料理が出てくるスタイルです。(でもお勘定は佐々木さんの三分の一ですが)

春のお造り 焼き鰆の柑橘ソースかけ茸添え 金目鯛の兜煮ふきのとう風味

カウンターからしっかり見下ろせるいわゆる『さらし』の板場ですから、芳田さんの包丁捌きが丸ごと見え、隙のないきびきびとした動きを拝見していると、まもなく登場するお料理への期待が、いやが上にも高まります。
芳田さんが最も得意とするのは、素性の確かな旬の地元産野菜を使ったお料理でしょうか。Kが訪れた4月初めのある夜の献立は、佐久市望月地区の契約農家でこの日に収穫した豊満なアスパラガスの蒸し立て (ニューヨーク製のアスパラ蒸し器で調理) を沖縄の天然海水塩でいただきます。手でつまんで食べたら一番おいしいのでしょうが、きょうは庖丁を入れてもらいました。
お造りは釣り物 (通称つりきん:伊東港水揚げ相模灘近海物1.5~1.6kg) の金目鯛、北海道産ばふんウニ、富山湾内の丸々太ったホタルイカと解禁直後の駿河湾の桜エビでした。
どれもおいしくて盛りつけも華やかで、桜はまだまだ先でも、お皿の上は春爛漫です。金目鯛は脂の載った腹側とすっきりした背側の味比べも楽しめます。
その後は、こちらも春を代表する魚の焼き物です。焼き鰆の柑橘ソースかけ茸添えは、鰆の肉がむっちりとしていて、弾力ある食感は鮮度が高い釣り物の証明です。
そしてメインは、金目鯛の兜煮ふきのとう風味です。先ほどお造りでいただいたつりきんの頭を醤油とみりんであっさり煮付けてあります。金目鯛は極濃い味で煮て、ご飯のおかずに最高ですけれど、本日の金目鯛は素性が確かで新鮮ですから、芳田さんはあっさりとした仕立てを目指したようです。目玉と頬肉ほほじって食べる楽しみは兜料理の醍醐味ですから、猫も見向きしないほど骨までしゃぶっていただきました。
かまどさん とても仲のよい 芳田さんご夫妻

そして、いよいよお待ちかねのハゼかけ米が登場します。さきほどから目の前のコンロに載って、艶々した釉薬の伊賀焼き焼き締めの土鍋から湯気を噴き出していたご飯が炊きあがりました。
長野県のお米の産地格付で、特A地区の認定を受けるのは、木島平と佐久平だけだそうですが、もちろん山桜さんでは佐久産のハゼかけ米をつかっています。
備長炭を入れて、お焦げも適度に入ってふうわりと炊きあがったご飯へ、またしてもプリプリ金目鯛を載せて出汁をはった豪華お茶漬けです。
仕上げは、目の前で作っていただいた吉野本葛へ自家製の黒蜜ときな粉をタップリとかけた一品です。葛をこねる作業を見ているだけで満腹のおなかにぽっかりとスペースができ、最後までおいしく頂けました。
お酒は福井黒龍酒造の「黒龍大吟醸しずく」など、マニア垂涎の秘酒が揃っています。

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