WEBマガジン 月刊|軽井沢

軽井沢エリアの情報は数あれど、
何となくどれも似ていて新鮮味がないような…。
そんな印象をお持ちの皆様へ、ちょっとレアなレポートをお届けします。

紹介スポットは、軽井沢を拠点に“見る・味わう・楽しむ”をテーマに、
佐久・小諸・追分・草津方面など広範囲からセレクト。
地域に根ざしたおすすめスポットを紹介します。

Vol.10

追分~小諸、北国街道そぞろ歩き

月刊軽井沢・バックナンバー 

 夏のピークシーズン、涼を求めて多くの観光客が押し寄せる軽井沢。軽井沢本通りや離山通りをはじめとする軽井沢中心部はもちろん、プリンス通り、国道18号、軽井沢バイパスなどの主要道路は、慢性的な渋滞に悩まされている。
 そんな軽井沢中心部から国道18号線を西へ進み追分エリアに入ると、さっきまでの喧噪が嘘のようなゆっくりとした時間が流れている。
 そこで今号は、追分から小諸へ向かう、昔ながらの落ち着いた歴史散歩をお届けしよう。

かつて沓掛宿の入口付近だった中軽井沢から望む浅間山

 追分エリアの中心は、軽井沢宿、沓掛宿とともに浅間根腰三宿と並び称された追分宿で、中山道と北国街道の分岐点にあり、民謡・追分節の発祥の地として知られ記念碑が建っている。
 かつて旅籠が軒を連ねていた旧中山道は、平成25年に電線の地中化や石畳風の道路など大規模な改良工事が行われ、江戸時代の面影が演出されている。明治時代の洋風建築が建ち並ぶ旧軽井沢とはひと味違った歴史の散歩道だ。

追分宿入口に建つ追分節発祥の地碑

電線が地下埋設された旧中山道の追分宿

 宿場町の風情を味わいながら旧中山道を西へ進んでいくと、「風立ちぬ」や「菜穂子」など多くの作品を軽井沢で執筆した[堀辰雄文学記念館]の前にでる。この辺りは、江戸時代、参勤交代の大名や武士の宿泊した本陣があった追分宿の中心地で、[ 堀辰雄文学記念館]入口に移築された脇本陣の裏門から往時の面影を偲ぶことができる。
 門をくぐり[堀辰雄文学記念館]へ向かうと、堀辰雄が住んでいた家と茶屋風の書庫が当時のまま保存されており、江戸から昭和へタイムスリップしたかのよう。宿場町から避暑地へ変化していった追分宿の歴史が垣間見えた。

堀辰雄文学記念館入口に移設された追分宿脇本陣の裏門

門の先で出迎えてくれる浅間石のモニュメント

昭和26年から昭和28年まで堀辰雄が暮らした住まい

本宅と向かい合うように建つ茶室風の書庫

 そして追分宿のランチスポットとしてぜひおすすめしたいのが、[堀辰雄文学記念館]の隣にある[蕎麦処 ささくら]。浅間山麓産の地粉を使った手打ち蕎麦が味わえる地元の方に人気のお店で、風味はもちろんコシがありのど越しの良い細切り蕎麦は絶品。カラッと揚がった地元産の野菜の天ぷらも人気で、サクサクの食感と野菜の風味が楽しめる。しかも観光地の飲食店とは思えないほどボリュームたっぷりなのが実にうれしい。

 追分宿の西端から100mほど先に入った国道18号線沿いに、有名な[追分宿分去れ]の常夜灯があり、右は越後に向かう北国街道、左は都に向かう中山道に分岐する。旧中山道は歴史散歩道として有名なので、今回はマイナー気味の北国街道を辿り小諸宿へ向かってみることにした。
 マップを頼りに旧道を進んでいくと、追分宿と小諸宿間の距離が長かったことから設けられた間(あい)の宿・馬瀬口村に入り、道沿いに重厚感を醸し出す旧家が点在しはじめる。なかでも目を見張るのが、大きな白壁の長屋門と土蔵。明治11年(1878年)に明治天皇が東海・北陸二道の巡行の折に立ち寄った高山邸で、長屋門の前に[明治天皇御小休所跡]の碑が建っていた。

250年前の旅籠を活かした雑貨店などが並ぶ追分宿中心地

常夜灯をはじめとする7基の石造物が建つ追分宿・分去れ

明治天皇の御休息所となった旧馬瀬口村の高山邸

 国道と何度か合流しながらさらに進んで行くと小諸宿の入口にあたる与良地区に入る。小諸はかつて小諸城を中心に栄えた城下町であり、与良地区にも歴史を感じさせる家が点在しているが、どちらかというと昭和レトロを感じさせる昔懐かしい街並が広がっている。なぜか、米店、酒店、竹細工店などの店先に「現金屋」の店札が掛かっており「現金?」と思わず目が引かれる。

与良地区に点在する“現金屋”の屋号

昔ながらの町屋が建ち並ぶ北国街道本町通り

北国街道ほんまち町屋館の裏庭から望む街並

 城下町としてだけでなく北国街道の宿場町の機能も備えた小諸は、江戸時代中期には東信濃随一の経済圏を形成していたといわれ、本町通りには今も蔵造りの商家が数多く残り、かつて繁栄を極めた小諸の面影を偲ぶことができる。
 そんな昔の商家をはじめ、有名な[懐古園]や[小諸城・大手門]、移築された[小諸宿本陣主屋]など、小諸には歴史的な建造物が目白押し。北国街道散歩の最後に散策するには内容が濃く、エリアも広すぎる。宿場町と城下町の歴史遺産、そして昭和レトロが混在する小諸の魅力に触れ、ぜひとも次回、じっくりと散策したくなった。

加賀の前田候など各地の大名を迎えた小諸宿本陣主屋

華やかな当時の様相を彷彿とさせる上段の間

平成の大修理を終え、創建当時(1612年)の姿に甦った小諸城・大手門